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診療科・部門

リハビリテーション室

はじめに

  当院のリハビリテーション室では、地域の中核的医療機関として理学療法士、作業療法士、言語聴覚士合わせて約70名のスタッフが各々の専門性を生かして働いています。また、患者さんを中心としたリハビリテーションの提供を理念に掲げ、患者さん住み慣れた地域で生き生きと暮らせるよう支援しております。
 当院のリハビリテーションの特徴としては、急性期より早期に介入し、多職種で協働しながら早期離床を促していることが挙げられます。その上で必要に応じ院内の地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟といった亜急性期および回復期の病棟を経由することにより、切れ目なく十分なリハビリテーションの提供を可能にしております。最近では同法人の小樽老人保健施設はまなすへ協力体制を強化したり、訪問リハビリテーションを開始したりと、在宅生活への支援まで切れ目なく携わっております。
 また各種専門外来等とも積極的に協力し高い専門技術の提供を行うとともに、地域への貢献活動としてリハビリテーション室市民公開講座を月1回程度開催したり、野球健診、スポーツセミナー、済生健康フェスタ、済生出前教室といった各種イベントにも積極的に取り組んでおります(現在、新型コロナ感染症予防対策のため各種イベントは中止しております)。
 このような、当院のリハビリテーション室の特徴や活動を活かし、様々な患者さんのニーズに答えていけるよう、今後も日々研鑽していきたいと考えております。

各職種の紹介

リハビリテーションスタッフの紹介

 当院は理学療法士40名、作業療法士24名、言語聴覚士6名、リハ助手2名がリハビリテーションに関わっています。

理学療法課の紹介

1.理学療法の専門性

理学療法士は、身体機能・運動機能を回復させるプロフェッショナルです。
 人は、身体を丈夫に保つことで日常生活を自立して過ごしたり、趣味やスポーツなどを楽しんだりすることができます。
 理学療法では、病気やケガなどによって低下した身体機能を最大限に回復させることで患者さんの生活を援助していきます。
「もう一度やりたい」に応えたい

2.理学療法課の“理念”

  1. ヒューマンベーシック(人間性の基本):思いやり(恕)、優しさ、礼儀正しさ
  2. サービスベーシック(サービス・ホスピタリティの基本):相手の視点に立って行動する
  3. クリニカルベーシック(医療の基本):安全性を踏まえた質の高い治療提供
  4. 地域社会への貢献:保健医療2035、地域包括ケアシステム、予防事業、啓蒙活動

3.理学療法課の“基本方針”

  • 患者さん・家族を中心に考えた治療(理学療法)の提供
  • 多職種との情報共有と連携強化
  • 自己スキルアップと情報(知識・技術)共有化による患者さんへの還元
  • 地域主催で開催される事業活動への積極的な参加・協力
  • ワークライフバランスの確立

4.理学療法課の“治療”

  身体機能の回復に向け、型に囚われない理学療法の実践を心掛け、早期より患者様の身体の基礎を再構築する手助けを行い、患者様の生活に合わせた運動内容を提供します。その為にスタッフ毎に日々、様々な治療手技・理論を学び患者さんに提供出来るよう努力しております。
様々な知識を“統合”して患者さんへ 最良となる理学療法を提供出来るよう努めます。

5.理学療法課の“学生指導”

 理学療法課では実習生の受け入れを積極的に行っており、現在道内5校、道外1校より受け入れております※。基本的には学校の到達目標に則した実習となるよう努力しております。
※現在、新型コロナウイルス感染症拡大防止の為、安全性に配慮して受け入れております。

 理学療法課の特色としては実習生に様々なことを学んで頂くために、色々な指導者と接する機会を作って個別に指導できるようにしております。
 また今後、すべての実習生へクリニカル・クラークシップでの臨床実習を実践していけるよう努めています。
実習生、指導者ともに成長できる実習になるよう 心掛け取り組んでおります!

6.理学療法課の“研究実績”

  • 運動器理学療法学会
  • 予防理学療法学会
  • 日本運動器疼痛学会
  • 日本糖尿病療養指導士学術集会
  • 北海道理学療法士学術集会
  • 済生会リハビリテーション研究会
  • 済生会学会
等の学会で様々な演題発表報告経験があります。

7.様々な“専門知識”

取得資格一覧

  • 認定理学療法士:
    運動器2名(北海道内認定者70名※)
    呼吸1名(北海道内認定者36名※)
    代謝1名(北海道内認定者8名※)
    ※令和元年(2019年)7月1日データ
  • 3学会合同呼吸療法認定士:5名
  • 日本糖尿病療養指導士:2名
  • からだ・運動器の痛み専門医療者:2名
  • 認知症ケア専門士:1名

関節外科

 近年、当院では変形性膝関節症の手術療法として人工膝関節全置換術(以下TKA)に加えて高位脛骨骨切り術(以下HTO)も多く行っており、患者さんが求める活動性に合わせて理学療法を実施しています。

チーム一貫したリハビリテーション

 医師、看護師、理学療法士各スタッフが専門的視点から密に連携を持って一人一人の身体面・精神面に合わせた支援、協力を行います。

手術後早期から回復期リハビリテーションの実施

 年齢や痛み、身体状態に合わせて一人一人無理のないペースで手術後早期から低下した筋力や関節の可動範囲を確保し、歩行訓練を行います。その後、10日前後で回復期リハビリテーション病棟へ移動し、主に退院後の生活に即した日常生活動作の習得を行います。

退院後の継続的な外来リハビリテーションの実施

 退院後の外来リハビリテーションでは入院中に行ったリハビリテーションを継続します。歩行スピード、安定性、持久力の向上、また余暇活動の拡大、仕事やスポーツへの復帰、習い事の再開などを目標としていきます。

前十字靭帯損傷

 スポーツなどにより前十字靭帯(以下ACL)を損傷してしまった場合、スポーツ復帰をする方や高いレベルの日常生活を送る方はACL再建の手術を行います。
ACL手術後は基本的なリハビリテーションプログラムがり、それに沿ったトレーニングを行っています。専門医師と理学療法士が動作をチェックし密に連携を図りながら入院時リハビリテーションや退院後の外来リハビリテーションを行っています。
膝前十字靭帯損傷について
理学療法士が患者の膝を曲げる様子
膝を曲げる訓練
ラダー訓練の様子
ラダー訓練(ACL手術後)

TKA・HTO・ACLの手術件数

TKA

TKAの手術件数
術式名 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
人工関節置換術(膝) 22 34 34 34

THA

THAの手術件数
術式名 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
人工関節置換術(股) 20 17 13 44

ACL

ACLの手術件数
術式名 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
関節鏡下靱帯断裂形成手術(十字靱帯) 6 24 22 11

HTO

HTOの手術件数
術式名 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度
骨切り術(下腿) 3 20 20 12

作業療法課の紹介

1.作業療法の専門性

作業とは食事や着替えなどのセルフケア、家事や仕事、余暇活動など日常生活に関わるすべての諸活動を指します。人の手を借りることなく一人でトイレに行けるようになりたい、家族のためにおいしい料理を作りたい、友人と一緒にパークゴルフをしたい、車を運転して出かけたい等その方にあわせた目標を達成できるよう支援するのが作業療法です。
当院作業療法科では、病気や怪我をされた患者さんが、安心・安全に住み慣れた地域で日常生活や趣味活動を送れるように支援することをモットーとしています。
院内でpパークゴルフを練習する様子
退院後のパークゴルフに向けて
ノートにスケッチをしている様子
趣味のスケッチを続けたい

作業療法におけるコンセプトと取り組み

臨床実践

小樽市の特徴として
  1. 高齢化率が高い
  2. 坂が多く、冬は雪が多く転倒者が多い
  3. 目的地までの移動は自家用車かバスが多い
などがあげられます。

当院作業療法では、心身の機能回復、動作方法の習得、福祉用具の選定、代償方法の習得、環境調整といった様々な方法から、その患者さんごとに適切なものを選択し支援させて頂きます。

脳卒中に対する訓練

脳卒中による片麻痺症状の改善を図るとともに、着替えや食事動作など日常生活動作の獲得に向けた支援を行います。また、記憶障害などの高次脳機能障害を呈する患者さんに対しても、日常生活が自立するよう支援します。
低周波機器による片麻痺治療の様子
低周波機器による片麻痺治療
着替えの練習中の様子
着替えの練習

骨折後の訓練

転倒によって多く発生する股関節や腰、手首の骨折に対し、手術後早期から作業療法を開始します。例えば人工関節置換術を行った患者さんにはパンフレットを用いて脱臼予防の指導を行ったりしています。また、脱臼を防ぐための動作指導も行います。
人工関節の脱臼予防指導中の様子
人工関節の脱臼予防指導
浴槽をまたぐ様子
訓練用の浴槽を使ったまたぎ動作練習

福祉用具

 病気や怪我をしても元の生活に近づけるために福祉用具は大きな助けとなります。例えば手首が動かせなくても食事を自分でできるようにするため、手のひらに装着するスプーン(カフ付きスプーン)を提供します。その他にも手すりがつけられない浴室での入浴のため、浴槽に取り付けられる手すり(バスグリップ)を使用した入浴方法の提案をします。また、浴槽からの立ち座りが困難な方には浴槽内に入れる椅子(浴槽台)の使用を提案します。入院中から退院後の生活を見据えた福祉用具の提案・選定も行います。
カフ付きスプーンを使って食事している様子
カフ付きスプーン
入浴のための福祉用具を使って浴槽に座る様子
入浴のための福祉用具

緩和ケア

身体的な問題や、精神的な苦痛などを評価し、患者さんの日常生活や今後の生活についての希望、楽しみのある活動などを提供しています。がんと診断されたばかりの方や終末期の方など対象となる方は様々ですが、いつ、どのタイミングでも、苦痛なく日々を過ごせるよう支援していきます。
キッチンで料理をしながら職員と患者が会話する様子
おいしい料理を作ってあげたい
職員と患者で携帯ゲームを楽しむ様子
趣味のゲームを続けたい

認知症患者様とご家族への支援

認知症と一概にいってもその症状や程度は様々です。その人らしさを大切にし、ご本人・ご家族が安心して過ごせるように作業の提供や環境調整を行いながら関わり、支援をします。当院の認知症ケアチームにも作業療法士が一員とし従事しています。
編み物をしている様子
孫に靴下を編んであげたい
急須にお茶の葉を入れている様子
お茶淹れは私の役割

ハンドセラピィ

手や肘、指の骨折に対し、機能訓練を行います。また、靭帯の損傷や骨折・腱や神経の断裂をされた方の炎症を増悪しないように固定し保護するために装具を作成します。
手を切断された方に対しては筋電義手の導入を行い、日常生活で使用できるよう練習します。
腕に装着されたカックアップスプリントの写真
カックアップスプリント
手に装着された母指対立軟性装具の写真
母指対立軟性装具
筋電義手で橋を持ち豆を掴んで運ぶ様子
筋電義手で食事動作の練習
筋電義手で洗濯物を干している様子
筋電義手で洗濯物干しの練習

作業療法における学生指導について

臨床実習向けマニュアル

※パスワードにつきましては、各教育機関のご担当者までお問い合わせください。
 

教育活動

2020年度は昨今のコロナ感染状況により実習受け入れは2名のみ受け入れました。
2021年度は状況にあわせた受け入れを行っています。

◇受け入れ実績のある養成校◇
  • 北海道文教大学
  • 北海道大学
  • 札幌医科大学
  • 北海道医療大学
  • 東北文化学園大学
  • 札幌リハビリテーション専門学校
  • 札幌医学技術福祉歯科専門学校
その他、道内外の養成校から随時受け入れをご相談しています。

 令和2年(2020年)4月以降の作業療法士養成校入学者に対する作業療法の臨床実習を指導するためには厚生労働省指定の「臨床実習指導者講習会」を修了する必要があります。当院で勤務する作業療法士7名が臨床実習指導者の要件を満たしています。全スタッフが受講し、統一した教育活動ができるよう目指しています。
 クリニカル・クラークシップでの臨床実習を積極的に実施しています。見学・模倣・実施の実践を行い、基本的態度、臨床技能、臨床思考過程の教育を実践しています。

「作業療法臨床実習の手引き(2018)」をもとに教育環境を整備しています。
  • 臨床実習指導体制として、実習生に対して「統括」、「担当」、「担当補助」を設けています。
  • 身だしなみは当院の規定で職員と同様に行って頂きます。
  • ハラスメント防止、良好な実習環境となるよう相談窓口を設置しています。
  • 事前学習の確認、事後の不十分な学習内容など養成校と適時相談しながら行っています。

作業療法における研究実績について

毎年、日本作業療法学会、日本手外科学会、日本肘関節学会、日本臨床作業療法学会、北海道作業療法学会、北海道整形災害外科学会等で演題発表を行っています。

言語聴覚課の紹介

1.言語聴覚の専門性

言語聴覚士は「話す」・「食べる」のスペシャリストです。
 人は、言葉などによってお互いの気持ちを伝え合うことや美味しい食事を食べることで豊かな生活をしています。
 言語療法では、言葉などによるコミュニケーションや食べる機能の改善を目指し、患者さんが自分らしい生活ができるよう支援していきます。

2.言語聴覚におけるコンセプトと取り組み

  失語症などで言葉が不自由になった方に訓練を行う事は言語聴覚士として当然のことですが、コミュニケーションは言葉だけでするものではありません。個人の言語機能にあわせたコミュニケーション方法を、患者さんと一緒に探していきます。
 また、食べる楽しみは生きるための活力です。必要に応じて医師に相談をし、嚥下造影検査・嚥下内視鏡検査を行い、患者さんの嚥下機能に応じた食事とリハビリテーションの提供を行っています。
 胃ろう等で栄養摂取される方にも、患者さんの嚥下機能に応じて、可能な限り食べる楽しみを追求してまいります。
言語聴覚士と患者のコミュニケーションの様子
言語聴覚士と患者のコミュニケーションの様子

回復期リハビリテーション病棟の紹介

 回復期リハビリテーション病棟とは、脳血管疾患または大腿骨骨折などの患者様に対して、日常生活能力の向上による寝たきりの防止と家庭復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に行う病棟です。
回復期リハビリテーション病棟外観写真
 当院の医師・看護師・介護福祉士・理学療法士・作業療法士・医療ソーシャルワーカーがチームとなり、患者様の心身の回復を促し、退院も生き生きとした楽しい生活が送れるように支援いたします。
回復期リハビリテーション病棟内部の写真
 当院の回復期リハビリテーション病棟に入院される患者様につきましては、回復時期での集中したリハビリテーションの実施、患者様やご家族様のニーズに応えるべく土日祝日を含めた365日リハビリテーションを実施させていただいております。
スタッフステーションの写真
PDF回復期リハビリテーション病棟パンフレット (1.7MB)

地域包括ケア病棟の紹介

 地域包括ケア病棟とは、急性期の治療が終了した後、すぐに在宅や施設へ移行するには不安のある患者さんに対して入院療養やリハビリテーションを継続し、在宅復帰に向けて準備をするための病棟です。つまり、安心して地域へお戻りいただくようにお手伝いすることを目的とした病棟です。
 在宅復帰支援計画に基づき、主治医をはじめ看護師、専従のリハビリテーションスタッフ、MSW(医療ソーシャルワーカー)等が協力し、効率的に患者さんの在宅復帰に向けた準備、相談を行っていきます。
 対象となる患者さんは、在宅あるいは介護施設等に復帰予定で、入院治療により症状が改善・安定した後、もう少し在宅への療養準備が必要な方となります。
 退院にあたり、必要に応じて家屋調査や環境整備、福祉用具の提案等を行いその人らしく生活が行えるように介入していきます。
 入院期間は状態に応じ調整いたしますが、原則的に転棟から60日が限度となります。

各センターでのリハビリテーションの紹介

手・肘センターのリハビリテーション紹介

1.手・肘センターの主なリハビリテーション対象疾患

  • 手:橈骨遠位端骨折、舟状骨骨折などの骨折、ばね指、CM関節症、手根管症候群など
  • 肘:上腕骨外側上顆炎、肘部管症候群、関節ねずみ、上腕骨離断性骨軟骨炎、肘関節内・外側側副靭帯損傷など
  • その他:脱臼、関節リウマチ、肩手症候群、CRPSなど
当院で代表的な疾患に対する術後成績や作業療法

橈骨遠位端骨折

 当院で掌側ロッキングプレートを使用した手術をされた場合、手術した翌日から作業療法が開始し、手の使用が許可されます。箸を使ったり、服を着たり、化粧をしたりする練習を始めます。術後3か月では関節可動域や握力は健側の70~80%に回復します。冬に多い骨折ですが、当院で手術をして作業療法を実施すれば、春には庭仕事、スポーツなどに復帰することができます。術後は6か月、1年と定期的な評価を行い、抜釘をするまで回復の経過を把握し、それをお伝えすることで自宅での訓練や手の使用方法など継続してアドバイスしていきます。

上腕骨外側上顆炎

 当院では術後から疼痛に合わせてゆっくりと関節のストレッチを行っていきます。腫脹や疼痛の管理を行っていくことで、手術前と同様の関節可動域が得られ、術後1か月程度で仕事へ復帰することができます。また、外来での作業療法の必要性は低く、定期的な評価で回復の経過を医師と共有していきます。

2.手・肘センターのリハビリテーションの特徴

 手や肘の疾患は最も日常生活動作に影響を受けます。食事をする時、顔を洗うとき、着替える時、お風呂に入るとき、仕事をするとき、趣味やスポーツをするとき。いつも手や肘は大きな役割を果たします。もしも指1本曲げることが難しかったら…、もしも利き手の手首を骨折したら…。物がうまく持てず、操作できず、想像しただけでも、皆さんは従来の生活を送れず、QOL(生活の質)が低下するでしょう。手や肘はとても細かく精密な機能を果たしており、専門的な知識や技術が必要です。私たちは、医師と協力しながら、ひとりひとりの患者さんの気持ちを大切にし、再び動作ができるように、再び使える手を目指して全力で支援します。
腕のリハビリ中の様子
手のリハビリ中の様子
腕のリハビリ中の様子
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